懐かしいあのリールを。

Yangidaさんの懐かしく頼もしいベイトリールAmbassadeur5000 。久々に使ってみようと云う事で基本的なカスタムを依頼されました。
来シーズンに向けて早々に準備を始めている柳田さん。さて、どの様な事を依頼したのでしょう

オールドを現代仕様に。

 当時は最新機種だった道具も年数を経ていけば、主軸と成る道具は変わっていくものです。私達のお店には若い頃にやっと買えた道具や大事な方や恩師から譲り受けた道具などを、復活させて道具も一緒にフィールドへ…という想い で来店される方が多いです。
私達もその気持ちや想いに応えようと日々の勉強や鍛錬をしています。

お預かりした Ambassadeur5000 は若かりし頃にやっと買えたという想い出の道具。
現在、手にしている愛用している道具に基準を合わせ 再び一緒にフィールドへ。

作業前のチェックスタート

進めていく作業として内側と外側とがありますが、先ずは外側の部品を確認していきます。

外側と云うのは主にフレームやパームサイドなどの歪み・摩耗等々をしっかりチェック していきます。
多少の傷などは当たり前なので其れらは最終段階の時に行います。初期チェックの時に余りに酷い状態ですと軽くタッチアップする程度に成ります。此れは酷い状態から活用が出来る状態にする という意味です。

余り綺麗にピッカピカにするのは面白くない…と思っています。

リールが釣り人と年数を重ねた良さを楽しむのは大人の特権 と考えていますので多少の傷も大事な歴史です。

お預かりしたリールは大事に保存されていた様子で、フレームやリールフットにパーミングカバー等々の状態は良好でした。特に念入りに点検していくのはフレームとリールフットで、リールフットに限ってはフレームを直した所でリールフットの歪みをカバーする事は叶わないので実は重要な部位なんです。

 又、色々な方から質問されるリールの致命的な〔 歪み等々の原因 〕は一体何か‥と云う事なのですが、余り知られていませんが最大の原因は キャスト方法とスプール軸受けの調整 です。キャスティングと云う所に驚かれる方が多いのですが凄く大事な事柄なんです。本当に知られていないので意識のしようもないとは思いますが少しだけ意識してみると、自身のキャスティング中を切り出した時のリールの向きとロッド(ブレード)の動きが一致しているだろうかと…。キャスティングとはリールだけで行なう動作では有りませんので、ロッドの挙動 イコール リールの挙動に相当します。ロッドのティップから補強あたりまでをスムーズに使っていない場合ではロッド(ブレード)は歪んで湾曲した状態でキャスティングする事に成る為、スプールの回転を抑えてしまう事に。この行為を続けてしまうと常態化してしまい時としてスプールの回転力が低いという認識やメカニカルブレーキと遠心力ブレーキの調整が噛み合わず滅茶苦茶なセッティングで終始してしまう可能性が大いにあります。話しが長く成るので割愛しますが、両軸の意味やキャスト方法をしっかり抑えておくと、道具の寿命は長く成り使いながらにして慣らし運転しているのとほぼ同意義に成ります。
ちょっと気に掛けてみて下さい。

真っ赤なカラーのAmbassdeurは多くのバサーを魅了し多くのファンも居りますね。当時の記憶を刻み込みチューニングする事で更に永く自身の記憶と経験を刻みます。

カスタムとチューニングを施していく

ご依頼の内容はWoodyLand オリジナル オープンベアリング EBE CAT の装着です。
皆さんもご存知の様に、Ambassadeur5000 は通常のサイズとは違いインチサイズベアリングなんですね。
しかも、キャストの後半にジワリジワリと効いてくる、懐かしいブッシング仕様。
こちらを現代の釣りとタックルに合わせてカスタムしていきます。

写真の丸いパーツがキャストの後半にジワリジワリと効いてくるブッシングです。当時としては安定したスプール回転と当時最新鋭の様々なロッドにとセットアップされてきました。現在でもスローテーパーのロッドや、直径の太いブレイデッドラインとの相性も大変良いブッシング。

現代のカスタムロッドもスローテーパーのブランクが有りますが、瞬発力とパワーが当時よりも格段にパワーアップしていますので、現代タックルにマッチさせる為、 EBE CAT を専用ベアリングとしてワンメイク製作していきます。因みにインチベアリングから通常のサイズへの変更は、昔から依頼を受け付けてまして、ご質問などが有りましたら聞いて下さい。

インチベアリングから現在の規格へ

先ずは、YangidaさんのAmbassdeur専用にEBE CAT のワンメイク製作です。ベアリングは回転に依って、電磁を発生させたりと色々な現象が起こるパーツなのですが、余り…いや全く知られてはいない事に最近 気が付きました。以前も、あるページにベアリングについて記述をしましたが沢山の方から質問が有りました。
多くの方がリールの回転数ばかりにに気を取られて、回転とは全く関係の無い部位に研磨などをしてしまう事例も見受けられました。パーツには1つ1つ意味が有りますのでご注意下さい。時々ですが見たり聞いたりするのはウォームシャフトの研磨などで余り関係がありませんので削らない様にして頂ければと思います。ちょっと脱線しましたので本線に戻ります。(いつも脱線が多いので少くする様に心掛けてます、すいません。)Yoin氏が拘りをみせるオリジナルのオープンベアリングEBE CAT のボールは真円度の等級が A Class なので不安定さもありません。

WoodyLandのチューニングにはベアリング自体をチューニングする事も含んでいます。最終チューニングではYoin氏が手掛けるWoodyLandオリジナルベアリング専用 イリクサーオイル の特徴であるベアリング内部のボールの滑らかさとボールの表面を保護して仕上げていきます。この作業…実は地味に結構な時間が掛かるんですよ〜。

 さて、専用のEBE CATが完成しましたら、お次は専用のアタッチメントの製作です。小さいパーツを精密に製作していき、インチサイズベアリング EBE CAT の完成です!!時間が掛かる作業ではありますが、少しづつ形に成るのが楽しいですよ!

おや、何でしょう?この部位に何か?2点の部位はお馴染みのスプールシャフトの画像。

写真の部位はスプールシャフトで、ちょっとシャフトが荒くれ(?!)ておりましたのでお直しを行いました。

完全なをしたWoodyLandEBE CATを早速、Ambassdeurへ内蔵していきます。オーバーホールも完璧に行いましたからオープンベアリングを内蔵されば…シャアァーーー!!と物凄いスプール回転数に成りました。初速の回転が増してスプールも軽く回転する仕様に変身しましたので、メカニカルブレーキの調整はしっかりと行ないます。

ギヤボックス側とパームサイド側にWoodyLandオープンベアリングEBE CATが見えています。

メカニカルブレーキのセッティングはメインラインの重量も関係しますからブレーキセッティングは 零出し を必ず行います。零出しを行う事でリールの基準を見つけ出し、其処を起点にメカニカルブレーキの微調整へ進みます。微調整をされる場合には使用頻度の高いロッドを用いて、お手持ちの最も中間に位置するルアーのキャスティングがスムーズに行える様にセッティングされるとバックラッシュが減少しますので是非、一度お試し下さいね。

さあ、此処まできますとYanagidaさんのOnlyOneカスタムリールの完成と成ります。

Ambassadeur5000をお預かりしているハンドルにセットアップしてみました。柳田さんのご厚意でお店にて展示させて頂いています。

夏仕様という フェザーウエイト チャンピオンハンドル は昔 Yoin が製作をした懐かしいグリップで柳田さんが更に手を加えたOnlyOnePlus+Handleで、前述の様に夏用にと仕上げたそうです。
来年の芦ノ湖が楽しみですね!

 今回、柳田さんが大事にしている Ambassadeur 5000 をお預かりした際に、書庫をゴソゴソと漁っておりましたら懐かしいカタログを発見しました。


カタログの裏面には『 エビスフィッシング 』の文字が‥。また年代を表しているであろう表記が『 84.12 』と明記(これ年代なんですかね?)
当時は個性的で革新的な機種を発表していたんですね〜。
始めの1ページから、読み込んでしまいました。楽しかった!!

時代の流れを感じつつ現在進行形のタックルとして相棒のAmbassadeur5000に注入したYanagidaさんのOnlyOneカスタムリールです。