ロッド製作で多くのご質問を頂く「スレッドラッピングのカラー」について、今回は遠方に住まう仲間達に向けて、少しでも手助けが出来ればと思います。

 自分だけのロッドを一から創る…。

様々なパーツの組み合わせ、色々なスレッド等で創る色味など、面白いと思う一方で、決定がなかなか下せない と思う方が多いかと思います。


何処かで見掛けた印象的なカラーの組み合わせや、パーツの配置は実際に目で見ると、違って見えてしまい悩み始める。
この事自体は、誰にでも当たり前の現象で、私達の様な提案していく側にも頻繁に有る事。

今回は遠方に住まう仲間達に向けて、少しでも手助けが出来ればと思います。

RamRodPrecisionで見てみる

スレッドのカラーの組み合わせの事例を見ながらデザインをしましょう!と言う事で、此処の所WoodyLandオリジナルブランクRamRodPrecisionでの製作が相次いでおり、スレッドの組み合わせで悩んでいる方がいらっしゃいます。
RamRodPrecisionのブランクカラーはフレンチグリーン·シリーズとして製作したブランクで、 職人に依り1本づつ手作業で巻いて頂いているBassActionBlankです。 先ずは、そのブランクカラーと言う事で、下の画像をご覧下さい。

少し渋味の有るフレンチグリーンを職人さんに調合してもらい塗装をしています。WoodyLandのフレンチグリーンには幾つかのブランクを製作しています。
自然界に馴染み自ずと釣り人もさかなが生息する環境へ馴染んでいく…その様な意識で調合したカラーです。

 カスタムロッドで一番に眼に入るのは、ガイド部や補強部・ドレスラッピング部の各部位ではないかと思います。
眼に入り込む其の印象は、スレッドのカラーやラッピング方法で創作者の持ち味が反映されます。ナチュラルな自然界を思わせるカラーリングやフレンチグリーンをベースに花々が開花していく様なカラーリング、無骨さの中に1点の主張を演出するカラーリング等々、創作者の閃きや感情など様々な持ち味が溢れ出ますよ。

RamRodPrecisionやWoodyLandオリジナルブランクにはフレンチグリーンをベースとしているシリーズとして好評でして、ブランク塗装職人さんの色の調合はYoin氏も唸る凄技です。

ナチュラルなカラーリングでイメージが用意と様々なスレッドカラーでOnlyOne製作をしています。

スレッドのマテリアルに依って色々な表現で愉しまれています。

 ロッドビルド専用のスレッドマテリアルには幾つかの種類が有り、ナイロン/メタリック/NCPが有り色の発色がそれぞれ異なるモノです。

例えば、ナチュラルな青々とした木々のイメージをグリーンカラーを中心にして、 マテリアルをメタリックスレッドで表現。更にカラーイメージを膨らませて 大地と森をイメージするブラウンカラーをプラス。

釣り場の印象などをスレッドカラーに投影して、イメージしていくのも進み易いかと思います。

実際に見ている景色をスレッドのカラーに落とし込む方法です。

OnlyOne作品を見てみると

お客さまからご依頼頂いたOnlyOne作品を少しづつ見ていきましょう。

メタリックスレッド

 メインスレッドとトリムスレッドをメタリックスレッドでラッピングしているカスタムロッド。

ガッシリしたワイヤーフレームのキャスティングガイドの印象も変わりますね

 飾り巻きの部分はダイヤモンドラップで仕上げています。

先のガイド部との協調性を保つため核とサイドのスレッドをメタリックスレッドで統一しています。

メタリックスレッドは表面に当たる光りが分散する作用もあるので抑えの効果としてブラックカラーのスレッドをラッピングしています。

 いつか見た印象深いロッドは在りますか?
例えば…そうですね昔のロッドとかは如何でしょうか、この印象をClassicと表現すればイメージが出来ますでしょうか…。
実際にお店にもクラシックなロッド……は(当時は最新鋭のロッドだったのですよ!) 年数を経ていますのでスレッド部の色味は褪せておりますけれど可成り強く印象付けられる様です。
 「印象深い」と言うのはロッドに刻まれた年数が、直接わたし達の眼に気持ちの深い所に訴え掛けてきますから、それを自身のカスタムロッドで表現が出来れば!と皆さん悩むんですね。
 ご自身が手掛けたカスタムロッドが年数を経て渋みや魅力が増してきますと、更に楽しみが増えていきますね。

NCPスレッド

 海外ではオーソドックスなスタイルのメタルリングのキャスティングガイドに、ダークグリーンで深く落ち着いた雰囲気を出しています。
少し繊細な印象が有るガイドもドッシリとした見え方に。

 世界で広くラッピングされているダイヤモンドラップはクラシカルな部類に入るドレスラッピングですが、ご依頼者の個性や閃きでクラシカルな部分を全面に出したり、抑えたり…と色々な工夫が出来ます。カラーの組み合わせやスレッドのマテリアルで印象が変わります。ガイド部のスレッドと統一していますが、こちらはサイドのNCPスレッドが引き立つ素晴らしい組み合わせ。

 NCPスレッドのライトグリーンで、重い印象に見えがちなガイドを軽やかな印象へと変えています。こちらも現代風のクラシックスタイルと言って良いと思います。

昔のロッドのスレッドカラーはとても単純明快でした。

製作するカスタムロッドも"クラシカル"さを表現しています。

 ご自身が想うカラーでクラシカルさを自由に表現する事は、当時のモノが訴え掛けてくる何かを現代のカラーや手法で製作していきます。当然の事ながら見え方は同じでは無く、逸品製作ですので当時の雰囲気に近い感じと現代の雰囲気を表現していくのは面白く、創造した何かを創りあげて形にしていきます。

スレッドカラーの組み合わせ

 スレッドのカラーの組み合わせで印象を変えられる事が出来ますが、今迄に見て頂いた参考画像はメインスレッドがグリーンと云う共通点が有ります。では今度はオーソドックスなカラーや、ひと工夫されているカラー・深く燃え立つカラーなどスレッドカラーのデザインを見ていきたいと思います。

 ブラックフレームにシルバーのメタルリングキャスティングガイドに、メインスレッドをオーソドックスなブラックでラッピング。少し粋な配色として、内側トリムをメタリックスレッドのブルー、そして外側のトリムはメタリックスレッドのシルバーをラッピングしています重々しい印象が少し軽く成っています。

 ダイヤモンドラップの部分はガイド部のカラーと統一です。こちらは差し色として、ブランクとほぼ色味が同じのグリーンを加えています。
中心と成るスレッドはブラックでは無く、トリムで使用したメタリックスレッドのブルーにしています

ブランクは全てフレンチグリーンなのですが、創作者の想う手法やカラーリングで異なった印象を受けるカスタムロッド。決定した時は勢いでササッと決断をするモノです。
 様々なダイヤモンドラップの表現を見ていくと、嗚呼…成るほどなぁ〜雰囲気や印象が変わるなぁ〜と感じる何かが在って、それは現在の私達がクラシックロッドを眼にした時に、感じる何かと同じなんだなと実感しています。

 ゴールドのメタルリングにシルバーのフレームのキャスティングガイドを、重く成らない程度にドッシリとしたカラーリングでラッピング。メインスレッドのレッドは、トリムのカラーリングで軽くも重くも印象を替えられる、素敵なカラー。
何と言いましても、内側のトリムが高い効果を出している、素晴らしい組み合わせです。

 ダイヤモンドラップの部分も工夫されています。ガイド部のメインスレッドカラーのレッドを今度は軽やかな印象で引き立たせる方法。ガイド部で使用されている、レッド / ゴールド / ブラックに、メタリックスレッドのシルバーを加えています。
眼に入り易い手元に依頼者の個性が光りますね。

外側トリムにも工夫が有り、メタリックスレッドのゴールドの光りを分散すら作用をブラックスレッドで挟み込んでいます。
こんな方法もあるのねぇ〜と思った瞬間でした。

スレッドラッピングには、どんな面白さがあるでしょうか。
とても解り易く参考に成るカスタムロッドの画像が有りますので、少し見ていこうと思います。

 クラシックなラッピング…と云えば、この手法を忘れてはいけないかなぁ〜と思います。メインスレッドはポリエステルスレッドのグリーン、トリムはメタリックスレッドのゴールド、その間にNCPスレッドのレッドを入れています。

メインとトリムの間にラッピングするのは、或る年代のロッドに割と見受けられる様に感じます。
こちらのカスタムロッドは、ポリエステル / メタリック / NCPの3種類のマテリアルを、上手に配分していて素晴らしいと思います。

 クラシックなラッピングの代表と云えば、ダイヤモンドラップですが、参考として見て頂いたダイヤモンドラップの中では、1つ1つが大きいダイヤにしていますよ。此方もガイド部のカラーと統一をしていますが、ボヤけてしまう部分が有るので、抑えとしてブラックカラーを加えています。

素敵な組み合わせを創作。

次に有りますのはガイドはナイロン染めが可能な、ワイヤーフレームのキャスティングガイドで兄貴サンが限定で少しだけ店頭に出してくれたガイドなのですが、創作者が自宅で染めたんです。

 明るいオレンジのリングに華やぎと少しの落着きを出す、カラーリングでラッピングです。
ラッピングの手法はクラシックそのモノ。因みにラッピングされたカラーは4色で、メインはナイロンスレッドの紺色、外側トリムはトリマースレッドのホワイト/シルバー、メインと外側トリムの間にはNCPスレッドのピンク、内側トリムはメタリックスレッドのブラウン。

スレッドラッピングがクラシックと表現をしていますが、作品を見ていくとクラシックの要素が全く見えない新しいスタイルに成りました。又、ブランクのカラーがフレンチグリーンなので太陽光の元で見ると、物凄く落ち着いたカラーリングでした。


みんなのスレッドカラー

此処からは、以前フジ釣具の メインキャスティングガイド のコンテンツで取り上げさせて頂いた時の参考画像を掲載してみました。
皆さまのロッド製作の参考に成ればと思います。

まだまだ、参考にしたいカスタムロッドは有るのですが、今回はフレンチグリーン·シリーズのブランクに、スレッドのカラーリングをどうしたら良いのか?と云う遠方の仲間達に向け、カスタムロッドの画像とその印象を少し掲載してみました。

 カスタムロッドは創作者がフィールドで永く共にする相棒です。
好みのカラー1色を中心に決めても良し、フルカラーも良しで、想う気持ちをカスタムロッドに投影して頂ければなぁ〜と思っています。

 スレッドのカラーが想像できないよ…、色が全く出てこない…など、眼にしないカラーも有りますが、要は創作者がフィールドで気持ちよくルアーフィッシングが出来るかどうか……かと思います。

 参考とさせて頂いたカスタムロッドの創作者は、自分の気持ちと勢い(これは大事)で決断してもおりますので、焦らずに考え込まずに色を並べて想像して頂ければと思います。
フジ釣具 担当鈴木